自動車部品分野で選ばれる表面処理・コーティング技術
電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)など、**次世代モビリティの進化**に伴い、自動車部品の製造現場では、従来の課題解決に加え、より高度な機能性を持つ表面処理技術が求められています。
次世代車両に求められるコーティング性能
高離型性
リチウムイオン電池・燃料電池の製造設備では、**電極材や触媒材料の付着を防ぐ**、極めて高い離型性が生産性の鍵となります。
絶縁性(ピンホールレス)
0.1φの白金線やアルミ線など、**微細な部品**におけるショートを防ぐため、欠陥のない均一で精密な絶縁コーティングが必要です。
意匠性(外観品質)
内装・外装の樹脂成形品において、型から取り出す際の**滑らかさ**と、ムラのない**均一な表面**が製品の品質を左右します。
ゴム・樹脂製品の製造現場での課題と解決策
課題
- 加硫前の**未加硫ゴムが成形型に付着**し、品質低下や型詰まりを引き起こす。
- ライン停止後の**清掃・メンテナンス作業**に多大な時間を要し、生産性が低下する。
解決策
**非粘着性・耐摩耗性に優れたフッ素樹脂コーティング**や、高い弾力性を持つ**ウレタンコーティング**を成形型や搬送部品に適用。清掃インターバルを大幅に延長します。
トレンド
- **自動化ライン**におけるセンサー認識向上のための**コーティングの色調指定**(例:黒、青、黄色など)。
- 電子部品の搬送時の故障を防ぐための**帯電防止性(導電性)**ニーズの増加。
- 環境負荷低減を目的とした、**耐久性が高く長寿命なコーティング**の採用。
🛠️ 用途別コーティング選定ガイド
| 用途 | 推奨コーティング | 特性 |
|---|---|---|
| 塗装治具・ゴム製品搬送治具・ラベル貼付工程 | フッ素樹脂コーティング | 非粘着性・耐薬品性・滑り性 |
| 搬送シュート・ホッパー・位置決め治具 | ウレタンコーティング | 耐摩耗性・柔軟性・衝撃吸収性 |
| 搬送治具・チャック爪・転写治具 | テフマックス(フッ素含有めっき) | 耐摩耗性・滑り性・導電性 |
| 離型性・滑り性・非粘着性が求められる部品 | フッ素樹脂コーティング/セラミックコーティング | 高耐熱性・耐薬品性・長寿命化 |
自動車業界での導入メリット
生産性の向上
清掃頻度の削減、設備の付着トラブル低減により、ライン稼働率と生産量が向上します。
製品品質の安定化
均一な離型性や意匠性の高い表面により、成形品や塗装品質が安定します。
設備寿命の延長
耐摩耗性・耐薬品性により、治具や金型の交換サイクルが伸び、コスト削減に繋がります。
自動化への対応
色調指定や帯電防止対応により、複雑な自動搬送・検査ラインの構築を可能にします。
導入事例:次世代車両部品の生産性向上
EVバッテリー製造における高精度離型
【導入技術】フッ素樹脂コーティング(ピンホールレスタイプ)
電池の電極シート製造ラインで使用されるロールに、高い離型性と均一な表面精度が求められていました。ピンホールレスの特殊フッ素樹脂コーティングを施した結果、**材料の付着がゼロ**になり、清掃時間が1週間あたり10時間から**1時間未満に削減**されました。
車載ゴム部品成形型の長寿命化
【導入技術】テフマックス(フッ素含有めっき)
自動車のOリングやパッキンを製造する金型に対し、テフマックス処理を適用。従来のクロムめっきとフッ素コーティングを組み合わせた手法と比較し、**耐摩耗性が3倍に向上**。これにより、金型の補修頻度が大幅に減り、年間生産性が15%向上しました。
自動車部品・製造ライン向け機能性コーティングに関するQ&A

自動車部品向けのコーティングにはどんな種類がありますか?

自動車部品では、耐摩耗・耐熱・耐食・絶縁・滑り性など、機能を付与するためのコーティングが多く採用されています。代表的なものは以下の通りです。
・フッ素樹脂コーティング(滑り性・耐薬品)
・変性フッ素コーティング(耐摩耗+密着性)
・PPSコーティング(耐熱・耐薬品)
・セラミックコーティング(耐摩耗・耐熱)
・ポリエステル粉体塗装(耐候性・耐食)
・シリコーンコーティング(耐熱・離型)
・帯電防止フッ素コーティング(静電気対策)
部品の使用環境に応じて最適なコーティングを選定します。

どんな自動車部品にコーティングが使われていますか?

以下のような“高温・摩耗・腐食・静電気”が発生しやすい部品で採用されています。
■ 足回り・駆動系
・サスペンション部品(耐食・耐摩耗)
・ブレーキキャリパー(耐熱・耐食)
・ハブ・シャフト(摩耗防止)
■ エンジン・排気系
・ヒートシールド(耐熱)
・エンジン周辺ブラケット(耐食)
■ 内装・外装の機能部品
・スライド機構部品(滑り性)
・ドア・シートレール(耐摩耗)
■ 電装品・センサー類
・絶縁保護コーティング
・静電気対策コーティング
“見た目の塗装”ではなく、機能を付与するためのコーティングが中心です。

自動車部品の製造ラインでもコーティングは使われますか?

はい、製造ラインでも非常に多く採用されています。特に以下の課題を解決するために使われます。
・粉体・樹脂・油の付着防止
・静電気によるトラブル防止
・摩耗・傷の防止
・滑り性向上による搬送効率アップ
・薬品・洗浄剤への耐性向上
ラインの安定稼働や品質向上に直結するため、機能性コーティングは欠かせません。

製造ラインのどんな部品に使われていますか?

以下のような“摩耗・付着・静電気”が発生しやすいライン部品で採用されています。
■ 搬送設備
・ローラー、ガイド、シュート
・コンベア部品(滑り性・付着防止)
■ 治具・ハンドリング部品
・クランプ、チャック、ロボットハンド
・樹脂・ゴム部品の離型治具
■ 塗装・樹脂成形ライン
・金型(離型性)
・粉体付着防止部品
■ 電装品組立ライン
・静電気対策治具
・絶縁保護部品
自動車部品の品質を左右する重要な工程で活躍しています。

どのコーティングを選べばいいか迷った場合は?

使用環境(温度・摩耗・薬品・静電気・荷重)によって最適なコーティングは異なります。
例えば…
・滑り性+耐薬品 → フッ素樹脂
・耐摩耗+密着性 → 変性フッ素
・耐熱+耐薬品 → PPS
・高温+摩耗 → セラミック
・屋外耐久性 → ポリエステル粉体
・付着防止+耐熱 → シリコーン
・静電気対策 → 帯電防止フッ素
用途をお知らせいただければ、最適な仕様をご提案できます。