焼付塗装とは?
焼付塗装は、塗料に含まれる樹脂成分を加熱(通常150℃以上)して硬化させることで、強固な塗膜を形成する塗装方法です。耐久性・耐摩耗性・耐候性に優れ、金属製品の保護や美観向上に広く利用されています。
焼付塗料の種類
焼付塗料は大きく分けて「有機溶剤系塗料」と「粉体塗料(パウダーコーティング)」の2種類があります。
① 有機溶剤系焼付塗装
● メラミン樹脂塗料
- 特徴:艶があり、膜厚を厚くしやすく高級感のある仕上がり
- 弱点:紫外線に弱く、屋内使用が中心
- 用途:電気機器、事務機器、金属棚など
● アクリル樹脂塗料
- 特徴:耐候性・耐薬品性に優れ、屋外使用にも対応
- 用途:自動販売機、ショーケース、スチールサッシ、鋼製家具など
● エポキシ樹脂塗料
- 特徴:密着性・耐食性に優れるが、耐候性は低め
- 用途:船体、錆止め下塗り、防食用途
● フッ素樹脂塗料
- 特徴:紫外線に強く、超耐候性を持つ
- 用途:高層ビル、駅舎、ドームなどメンテナンスが難しい場所
● シリコーン樹脂塗料
- 特徴:耐熱性に優れ、200℃以上でも安定
- 用途:自動車排気部品、キッチン周辺の耐熱塗装
② 粉体塗料による焼付塗装(パウダーコーティング)
粉体塗料は、静電気で付着させた粉末を加熱して溶融・硬化させる環境負荷の少ない塗装方法です。以下は代表的な樹脂タイプと性能比較です:
| 樹脂タイプ | 物理性 | 耐食性 | 耐候性 | 耐薬品性 | 耐汚染性 |
|---|---|---|---|---|---|
| エポキシ樹脂 | ◎ | ◎ | × | ◎ | △ |
| ポリエステル樹脂 | 〇 | 〇 | 〇 | △ | 〇 |
| エポキシポリエステル | 〇 | 〇 | △ | 〇 | △ |
| アクリルポリエステル | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| アクリル樹脂 | 〇 | △ | ◎ | 〇 | — |
焼付塗装のメリット
- 高耐久性:摩耗・腐食・薬品に強い
- 美観性:艶や色の自由度が高く、意匠性に優れる
- 環境対応:粉体塗装はVOC(揮発性有機化合物)を含まず環境負荷が低い
- 用途の広さ:屋内外の金属製品、工業部品、建材などに対応
導入事例:焼付塗装の活用事例
事例①|屋外設置の自動販売機メーカー様
課題:紫外線や雨風による塗膜劣化が早く、定期的な再塗装が必要だった 導入内容:アクリル樹脂焼付塗装を採用 効果:耐候性が向上し、塗膜の劣化が大幅に減少。再塗装サイクルが従来の半分に短縮され、メンテナンスコストも削減。
事例②|精密機器メーカー様(屋内使用)
課題:製品の外観品質を高めたいが、コストと塗膜厚のバランスが難しい 導入内容:メラミン樹脂焼付塗装を採用 効果:艶のある高級感ある仕上がりを実現。膜厚調整がしやすく、製品の外観品質が向上。コストも抑えられ、量産にも対応可能。
事例③|大型建築資材メーカー様
課題:高層ビル外装部材の塗膜劣化による再塗装が困難 導入内容:フッ素樹脂焼付塗装を採用 効果:紫外線に強く、長期耐候性を確保。再塗装の必要がほぼなくなり、長期的なメンテナンスコストを大幅に削減。
事例④|厨房機器メーカー様
課題:高温環境で使用する部品の塗膜が剥がれやすい 導入内容:シリコン樹脂焼付塗装を採用 効果:200℃以上の高温でも安定した塗膜を維持。耐熱性と耐汚染性が向上し、製品寿命が延びた。
焼付塗装に関するQ&A

焼付塗装とはどのような塗装ですか?

液体塗料を塗布した後、加熱炉で150〜200℃前後に加熱し、塗膜を硬化させる塗装方法です。常温乾燥よりも強い塗膜が得られ、耐久性・耐候性・意匠性に優れています。

焼付塗装の特長は何ですか?

焼付塗装には以下の特長があります。
・高い耐久性(傷・摩耗に強い)
・優れた耐候性(屋外使用に強い)
・美しい仕上がり(光沢・マット・メタリックなど)
・量産ラインに適した安定品質
・乾燥が早く、生産性が高い
自動車・家電・建材など、量産品で広く採用されています。

どんな用途で採用されていますか?

焼付塗装は、耐久性と意匠性が求められる幅広い分野で採用されています。
■ 自動車・輸送機器
・車体部品
・ホイール
・内外装パーツ
■ 家電・精密機器
・家電筐体
・電子機器カバー
・OA機器部品
■ 建築・エクステリア
・アルミサッシ
・フェンス・手すり
・建築金物
■ 産業機械・設備
・フレーム・カバー
・ラック・治具
“美観 × 耐久 × 生産性”が求められる製品で特に選ばれます。

焼付塗装の膜厚はどのくらいですか?

一般的には20〜40μm程度です。
粉体塗装より薄いですが、均一で美しい仕上がりが得られます。

どんな素材に焼付塗装できますか?

主に金属に施工できます。
・鉄
・ステンレス
・アルミ
・亜鉛メッキ鋼板
樹脂は耐熱温度の関係で不可の場合が多いです。

耐候性はどのくらいありますか?

紫外線・雨風・温度変化に強く、屋外での長期使用に耐えます。
建材や自動車部品で多く採用されている理由です。

粉体塗装との違いは何ですか?

主な違いは以下の通りです。
■ 焼付塗装(液体)
・膜厚:20〜40μm
・色・質感の自由度が高い
・細かな意匠表現が可能
・薄膜で精密部品に適する
■ 粉体塗装(粉体)
・膜厚:60〜120μm
・耐久性・耐食性が高い
・環境対応(VOCゼロ)
・厚膜で外装部品に最適
“意匠性 → 焼付塗装”
“耐久性 → 粉体塗装”
という使い分けが一般的です。

前処理は必要ですか?

はい、密着性と耐食性を高めるために前処理が重要です。
・脱脂
・リン酸亜鉛処理
・クロメート処理(アルミ)
・サンドブラスト
前処理の品質が塗装寿命を大きく左右します。

どの焼付塗装を選べばいいか迷った場合は?

用途に応じて最適な塗料を選びます。
・耐候性 → アクリル・ポリエステル系
・耐薬品性 → エポキシ系
・耐熱性 → シリコーン系
・意匠性 → ウレタン系
使用環境をお知らせいただければ、最適な仕様をご提案できます。