PFA(フッ素樹脂)コーティング 技術解説ガイド
PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)は、PTFEの耐熱・耐薬品性と、FEPの溶融成形性を兼ね備えた「究極のフッ素樹脂」です。焼付時に樹脂が完全に溶融して緻密な膜を作るため、薬液の浸透を極限まで抑える重防食用途に最適です。本ガイドでは、最高峰のスペックを誇るPFAコーティングの価値を解説します。
PFAの主要特性
最高レベルの耐熱性
PTFEと同等の260℃での連続使用が可能です。高温環境下でも化学的・機械的特性が劣化せず、過酷な熱プロセスに耐用します。
究極の耐薬品性・防食性
溶融流動によりピンホールのない緻密な皮膜を形成します。薬液の浸透を許さないため、半導体製造装置や化学プラントの重防食に不可欠です。
高純度・低溶出性
不純物の溶出が極めて少なく、内容物を汚染しません。超純水を扱うプロセスや、医薬品、高純度化学薬品の製造ラインでの使用に最適です。
優れた非粘着・平滑性
表面エネルギーが極めて低く、粘着性の高い物質の付着を防ぎます。FEP以上の緻密さと平滑性を持ち、汚れの除去も容易です。
卓越した電気的特性
体積抵抗率(>10¹⁸ Ω·cm)と絶縁破壊強度に優れます。高周波特性も極めて安定しており、電子部品の保護にも適しています。
耐クラック・機械的強度
FEPよりも高温時の機械的強度が保持され、ストレスクラック(応力亀裂)に対する耐性が高いため、長期信頼性に優れています。
膜厚の設計と選択
標準離型仕様 (30〜50μm)
一般的な離型・非粘着用途。平滑で均一な膜を形成し、メンテナンス頻度を大幅に削減します。
防食・浸透防止仕様 (100〜200μm)
腐食性ガスや薬液に曝される環境用。ピンホールレス特性を活かし、基材を確実にガードします。
重防食ライニング (300μm〜1mm)
強力な酸・アルカリを溜めるタンクや配管など。多層盛りにより、物理的な遮断性能を最大化します。
テクニカルデータ(フッ素樹脂比較)
| 項目 | PFA | FEP | PTFE |
|---|---|---|---|
| 常用耐熱温度 | 260℃ | 200℃ | 260℃ |
| 成形性 | 溶融流動 | 溶融流動 | 焼結 |
| 体積抵抗率 | > 10¹⁸ Ω·cm | > 10¹⁸ Ω·cm | > 10¹⁸ Ω·cm |
| 表面平滑性 | 極めて高い | 高い | 普通 |
| 不純物溶出 | 極小 | 小 | 小 |
| 耐ストレスクラック性 | 最強 | 普通 | ー |
PFAコーティングに関するQ&A
技術的な留意点
PFAコーティングは、焼付時に非常に高い温度(約340℃〜380℃)を必要とします。そのため、熱による変形や劣化が生じる基材(一部の低融点合金やプラスチックなど)には施工できない場合があります。
また、重防食用途で厚膜を形成する場合、膜厚が増すほど熱膨張・収縮の応力が大きくなるため、角部(R)の設計が非常に重要です。鋭角な部分があるとクラックの原因となるため、基材設計時に十分な面取りを行うことが、長寿命化のポイントとなります。