PTFEコーティングの基本工程フロー
PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)コーティングは、非粘着性・耐薬品性・耐熱性に極めて優れたフッ素樹脂コーティングの一種です。食品機械の焦げ付き防止から、化学装置の防食、搬送部品の摩擦低減まで、工業界の幅広いニーズに対応する表面処理技術です。
フッ素樹脂は性質上、あらゆる物質が「くっつきにくい」という特徴を持つため、基材表面に強固な塗膜を形成するには、徹底した油分除去と下地作りが品質の鍵となります。
高品質を実現する加工工程
PTFEコーティングの性能を最大限に引き出すためには、緻密な工程管理が不可欠です。以下に一般的な基本フローを解説します。
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STEP 01
脱脂処理(空焼き・溶剤洗浄)
基材表面に付着した油脂や汚れを徹底的に除去します。重要ポイント:非粘着性の強いPTFEを密着させるための最重要前処理
【空焼き】:基材を加熱炉に入れ、焼成温度(380℃)よりも高い温度で熱することで、油脂や不純物を熱分解・揮発させます。
【溶剤洗浄】:熱変形が懸念される薄物素材や精密な形状物、また空焼きに適さない素材に対しては、溶剤を用いた洗浄で油分を完全に除去します。 -
STEP 02
表面粗化(サンドブラスト)
脱脂後の清浄な表面に、ブラスト材を衝突させて微細な凹凸(アンカー)を形成します。これにより物理的な投錨効果が生まれ、コーティングの剥離を防ぎます。重要ポイント:塗膜の耐久性を支えるアンカー効果の形成
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STEP 03
プライマー塗布・乾燥
金属基材とPTFEトップコートの橋渡し役となる下塗り材(プライマー)を塗布します。塗布後は低温で仮乾燥を行い、水分や溶剤を飛ばして次工程の塗膜を安定させます。重要ポイント:防食性の向上とトップコートの強固な結合
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STEP 04
トップコート塗布
PTFE樹脂をメインとしたトップコート剤をスプレー塗装します。用途に合わせ、完成品膜厚が25~50μmとなるよう、熟練した技術で精密にコントロールします。重要ポイント:PTFEの機能(非粘着・滑り性)を付与するメイン工程
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STEP 05
中間乾燥(複数回塗布の場合)
膜厚の確保や多層塗りの必要がある場合、塗布と低温乾燥を繰り返します。これにより、塗膜の均一性を高め、25~50μmの安定した膜厚を確保します。重要ポイント:適正な膜厚確保による耐久性と機能性の向上
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STEP 06
焼成(高温焼成)
加熱炉に入れ、約380℃の高温で焼き上げます。PTFE樹脂が融解・結合し、耐熱性・非粘着性・耐薬品性が最大化される最終プロセスです。温度と保持時間の厳密な管理が、塗膜の完全硬化に繋がります。重要ポイント:設定温度380℃による樹脂の完全融合と性能発現
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STEP 07
検査・仕上げ
外観、膜厚(25~50μmの適合性)、密着強度、表面の状態などを厳しく検査します。合格したものだけが、精密に梱包されて出荷されます。重要ポイント:高品質な表面処理を保証する厳格な品質管理
PTFEコーティングの主な特性
フッ素樹脂コーティングを選択する際に考慮すべき5つのメリットです。
主な用途例
- 食品加工機械: パン型、フライパン、コンベアベルトの焦げ付き・付着防止
- 化学工業: タンク、バルブ、配管の耐食・防食対策
- 産業機械: 搬送用治具、摺動部品の摩擦抵抗の低減
- 金型・離型: 樹脂成型やゴム成型の離型性向上