高絶縁・耐食:エポキシ樹脂粉体塗装(流動浸漬・静電塗装)
エポキシコーティングは、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂を使用した表面処理技術です。最大の特長は、極めて高い電気絶縁性と金属への強力な密着性、そして優れた耐食性・耐溶剤性にあります。
流動浸漬法による重防食用途から、静電塗装による精密な薄膜・厚膜絶縁まで、金属保護と機能付与において幅広く活用されています。
技術標準(エポキシ樹脂粉体グレード)
| 基本特性 | 熱硬化型・高絶縁性・高密着性 |
|---|---|
| 塗装方法 |
流動浸漬法: 厚膜(250〜1,000µm超)向け 静電塗装法: 薄膜〜厚膜まで対応可能 |
| 対応膜厚範囲 | 50 〜 1,000 µm(基材形状や工法選択により調整可能) |
| 硬化温度(目安) | 180 〜 230 ℃(樹脂の反応速度により調整) |
| 被膜特性 | 電気絶縁、耐水・耐湿、強固な密着、耐薬品性 |
基材形状と用途に合わせた工法提案
基材の形状、寸法精度、マスキングの有無を考慮し、最適な工法を使い分けます。
① 流動浸漬法(重防食・超厚膜)
予熱した基材を粉体槽に浸漬し、一工程で厚膜を形成。マスキングの必要がない、または単純な形状で、水道配管や電力インフラ部品などの重防食・高絶縁が必要な場合に適しています。
② 静電塗装法(精密・厚膜対応)
静電気で粉体を付着させます。複雑な形状や精密なマスキングが必要な箇所に有効です。一回の塗布量を調整することで、薄膜から厚膜まで幅広く対応可能です。
エポキシコーティングの加工工程フロー
エポキシは熱硬化性のため、硬化プロセスで強固な三次元架橋構造を形成し、再溶融しません。
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STEP 01
下地処理(脱脂・ブラスト)
エポキシの性能を最大限発揮させるため、金属表面の錆や油分を完全に除去します。ショットブラストによる表面の粗化は、アンカー効果による密着力向上に不可欠です。役割:金属との「完全密着」を確保し、経年剥離を防止する
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STEP 02
塗装(流動浸漬/静電付着)
流動浸漬の場合は基材を予熱して浸漬し、静電塗装の場合は塗装不要箇所にマスキングを施した上で粉体を吹き付けます。役割:目的に応じた適切な膜厚と、正確な塗装範囲を確保する
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STEP 03
加熱硬化(キュアリング)
乾燥炉(焼付炉)にて、エポキシ樹脂を融解・平滑化させた後、熱による化学反応(架橋)を完了させます。一工程で安定した被膜を形成します。役割:樹脂を反応させ、強靭な「熱硬化性被膜」を形成する
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STEP 04
徐冷 & 検査
硬化後は徐冷し、膜厚検査や絶縁耐力試験(ピンホール検査)を実施します。エポキシ特有の平滑で緻密な表面を確認します。役割:電気的絶縁性能や、防食用バリア層としての完全性を最終保証する
エポキシコーティングの主なメリット
優れた電気絶縁性:高電圧・精密電子部品に不可欠
驚異の密着性:金属との結合力が非常に高い
重防食性能:水、海水、湿気による腐食を遮断
一工程での厚膜:効率的な施工で高いバリア性を実現
主な用途例
- 電力・電気インフラ: 重電用ブスバー、トランスコア、絶縁支持金具、モーターコアの絶縁
- 水道・環境: 水道配管の内外面(厚生労働省規格準拠)、バルブ、継手、消火栓(重防食)
- 電子部品: コンデンサケース、電子基板用治具、センサーハウジング
- 土木・建築: 鉄筋の防食コーティング、橋梁用部材、地下埋設物
- 自動車: バッテリーケース周辺、燃料ライン部品、モーター部品の絶縁