塩ビ(PVC)ゾルコーティング:柔軟性と厚膜保護
塩ビ(PVC)コーティングは、液状の塩化ビニル樹脂(ゾル)を使用する表面処理技術です。他の塗装にはない圧倒的な膜厚(数mm単位)と、ゴムのようなクッション性・柔軟性を付与できるのが最大の特長です。
グリップ性能の向上、金属の鋭利な角の保護、耐薬品性の確保など、機能性と安全性を同時に満たす加工として重宝されています。
技術標準(PVCゾルグレード)
| 基本特性 | 熱可塑性・柔軟性・耐薬品性 |
|---|---|
| 塗装方法 | 流動浸漬(ゾル浸漬): 液体ゾルに予熱基材を浸漬 |
| 対応膜厚範囲 | 1,500 〜 3,000 µm 超(1.5mm〜3.0mm超) |
| 外観・色 | 光沢・マット、多色対応 |
PVCゾルコーティングの加工工程フロー
液体ゾルを使用するため、基材の熱量管理が膜厚を決定する重要なポイントとなります。
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STEP 01
下地処理 & プライマー処理
脱脂・ブラスト後、PVC専用の液体プライマーを塗布します。塩ビ樹脂は金属と直接密着しにくいため、この工程が剥離防止に必須です。役割:金属と塩ビ層を強固に接着させる「仲介」を担う
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STEP 02
予熱(プレヒート)
基材を加熱炉で温めます。役割:基材表面でゾルをゲル化させ、目標の厚みを確保する
【温度目安】250 〜 350 ℃ 程度 -
STEP 03
浸漬塗装(ディッピング)
液体状のPVCゾル槽に基材をゆっくりと浸漬し、引き上げます。基材の熱で表面のゾルが固まり、均一な層が形成されます。役割:一工程で圧倒的なボリュームの被膜を形成する
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STEP 04
後加熱(焼付け・焼成)
浸漬した樹脂を完全にゲル化・融着させるために、再度加熱炉へ入れます。役割:樹脂を完全に一体化させ、物性と表面の光沢を確定させる
【温度目安】180 〜 200 ℃ 程度 -
STEP 05
冷却 & 仕上げ
水冷または空冷で冷却します。最後にマスキングの除去や、余剰部分のトリミングを行い完成です。役割:製品を安定状態にし、最終的な外観と寸法を整える
塩ビコーティングの主なメリット
抜群のクッション性:緩衝材・グリップとしての性能
優れた電気絶縁性:工具や電気部品の保護
耐食・耐候性:屋外や薬品環境下での金属腐食を防止
圧倒的厚膜:一工程で数ミリのバリア層を形成
主な用途例
- 作業工具: ペンチ・ニッパーのグリップ部(絶縁と滑り止め)
- メッキ治具: 強酸・強アルカリ液に耐えるための全面被覆
- 自動車部品: シートベルト金具、各種クランプ、防音・防振目的のパーツ
- 日用品・建築: 物干し竿、フェンス、公園遊具、手すりの被覆
- 産業設備: タンク内部、配管バルブ、鋭利なエッジの保護カバー
※粉体塩ビの取扱いはございませんが、PVCの100ミクロン以下の薄膜処理をご希望の場合も、お気軽にご相談ください。