ETFE(フッ素樹脂)コーティングの特性・メリット・用途を徹底解説

ETFE(フッ素樹脂)コーティング 技術解説ガイド

ETFE(四フッ化エチレン・エチレン共重合樹脂)は、フッ素樹脂の優れた耐食性と、汎用プラスチックに近い「強靭な機械的特性」を併せ持つ熱可塑性樹脂です。他のフッ素樹脂(PTFE/PFA/FEP)に比べて耐摩耗性や耐衝撃性に極めて優れており、物理的な負荷がかかる環境での防食コーティングとして比類なき性能を発揮します。

ETFEの主要特性

抜群の機械的強度

フッ素樹脂の中で最も耐摩耗性・耐衝撃性に優れています。引張強度や伸びも大きく、物理的な損傷を受けにくい強靭な皮膜を形成します。

優れた耐薬品性

強酸、強アルカリ、溶剤に対して高い耐性を持ちます。PFA等と比較すると一部の溶剤に影響を受ける場合がありますが、一般的な化学プロセスには十分な耐性を誇ります。

良好な加工性(厚膜形成)

溶融流動性が高く、複雑な形状のワークに対しても均一なコーティングが可能です。また、重防食用の厚膜仕様にも適しています。

高い放射線耐性

フッ素樹脂としては珍しく、放射線(ガンマ線など)による劣化が少ないのが特徴です。原子力関連施設や宇宙産業での絶縁・保護材料としても重宝されます。

耐候性・光透過性

紫外線による劣化がほぼなく、20年以上の屋外曝露にも耐えます。光透過率が高いため、建築用の膜屋根材(スタジアム等)のコーティングにも採用されます。

安定した電気絶縁性

広い温度範囲で優れた電気絶縁性を維持します。強靭な機械的特性を活かし、過酷な環境下での電線被覆や電子部品の絶縁保護に適しています。

膜厚の設計と選択

一般薄膜仕様 (40〜80μm)

耐候性や基本的な防食を目的とした仕様。複雑な形状への追従性が良く、滑らかな表面が得られます。

耐摩耗・防食仕様 (100〜300μm)

攪拌翼や遠心分離機など、内容物の摩耗がある環境用。強靭な膜が物理的摩耗と化学的腐食を同時に防ぎます。

重防食ライニング (500μm〜)

大型タンクや配管の内部保護。ETFEの柔軟性と強度を活かし、熱サイクルによる剥離リスクを低減します。

テクニカルデータ(性能比較)

項目 ETFE PFA PTFE
常用耐熱温度 150℃ ~ 180℃ 260℃ 260℃
耐摩耗性 極めて優れる 普通 低い
耐衝撃性 最強 高い 普通
非粘着・離型性 良好 極めて高い 極めて高い
耐薬品性 高い 最高 最高
比重 1.7 ~ 1.8 2.1 ~ 2.2 2.1 ~ 2.3

ETFEコーティングに関するQ&A

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ETFEコーティングを選ぶべきシーンは?
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「耐薬品性」だけでなく「物理的な強さ」が求められる場面です。例えば、スラリー(固形物混じりの液体)を攪拌する翼や、振動や衝撃が加わる装置の防食など、PFAやPTFEでは皮膜が削れやすい過酷な環境に最適です。
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耐熱性はどれくらいありますか?
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常用で約150℃〜180℃程度です。PFAの260℃には及びませんが、この温度域以下で使用される化学プラント設備や半導体付帯設備であれば、機械的強度の高さからETFEが好まれるケースも多いです。
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屋外で使用しても大丈夫ですか?
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非常に高い耐候性を持っています。紫外線による劣化や変色がほとんどないため、屋外設置の大型タンクや、建築物の屋根膜コーティングなど、長期的な耐久性が求められる用途でも実績が豊富です。
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他のフッ素樹脂とのコスト差は?
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PFAに比べると材料コストは抑えめな傾向にあります。物理的な耐久性が高いため、部品の長寿命化に貢献し、メンテナンスのダウンタイムを減らすことでトータルコストの削減に繋がります。

技術的な留意点

ETFEは一部の強酸化性酸(発煙硫酸や濃硝酸など)や、高温の特定溶剤に侵される場合があります。PFAに比べると化学的耐性の範囲がわずかに限定されるため、使用環境の薬液リストに基づく事前確認を推奨します。

また、ETFEは基材(金属)との熱膨張係数の差を考慮した設計が必要です。厚膜仕様の場合、急激な熱サイクルが加わると密着性に影響が出る可能性があるため、プライマー選定や下地処理(ブラスト等)の徹底が重要となります。

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