化学工業で選ばれる表面処理・コーティング技術とは
化学薬品を扱う製造現場では、腐食・付着・熱劣化といった深刻な課題に常に直面しています。これらは設備トラブルや生産性の低下に直結するため、フッ素樹脂コーティングをはじめとする高機能表面処理が、製造プロセスの安全と効率を支える不可欠な技術として広く採用されています。
フッ素樹脂が選ばれる5つの理由
耐薬品性
酸、アルカリ、有機溶剤といったほとんどの化学薬品に対して優れた耐性を示し、腐食による設備劣化を防止します。
非粘着性・離型性
残渣やスラッジ(沈殿物)の付着を根本的に防止し、タンクや配管の清掃作業を劇的に簡素化します。
優れた耐熱性
蒸留や反応プロセスなど、高温環境下での連続運転においても、コーティングの性能や物性を維持します。
低メタル溶出性
医薬品や高純度試薬を扱う環境において、コーティングからのメタル成分溶出が極めて少なく、高純度維持に貢献します。
高機械的強度
高厚膜の施工やセラミック充填技術により、撹拌翼や配管内面への衝撃や摩耗に対するキズ対策にも対応可能です。
用途別コーティング選定ガイド
| 用途 | 推奨コーティング・加工 | 特性・メリット |
|---|---|---|
| タンク・配管・バルブ・反応槽・酸貯蔵槽 | フッ素樹脂コーティング/ライニング加工 | 強力な耐薬品性、高厚膜による防食性能、長期耐久性 |
| 乾燥機・遠心分離機・反応槽 | 導電性フッ素樹脂コーティング | 帯電防止性能、非粘着性、粉体付着の抑制 |
| 材料供給機・ホッパー・シュート | ウレタンコーティング | 耐摩耗性、衝撃吸収性、柔軟性、材料詰まりの防止 |
| クリーンルーム内壁・実験設備・治工具 | 常温フッ素樹脂コーティング | 現場での施工性、低温対応、耐薬品性 |
導入事例:トラブルの削減と生産性向上
蒸留塔内面のキズ対策と耐薬品性
【課題】高温・腐食環境下での高耐久性確保
蒸留塔内面に高厚膜フッ素樹脂コーティングを施工。さらにセラミックを充填することで、高い耐薬品性を維持しながら、撹拌やメンテナンス時の物理的なキズや摩耗に対する耐久性を大幅に向上させました。
廃溶剤蒸留装置のスラッジ付着抑制
【課題】高頻度な清掃作業による稼働率低下
廃溶剤蒸留装置の内部に非粘着性フッ素コートを適用。これにより、従来頻繁に発生していた重質分のスラッジ付着を抑制し、清掃サイクルを大幅に延長。結果として、装置の稼働率が向上しました。
薬液タンクの静電気対策と耐薬品性の両立
【課題】可燃性溶剤使用時の静電気リスク
可燃性の薬液を扱うタンクに対し、導電性フッ素樹脂コートを施工。静電気の蓄積を防ぎながら、タンク本体の腐食を防ぐ耐薬品性を同時に実現。安全性の向上と設備保護を両立しました。
化学工業分野向け機能性コーティングに関するQ&A

化学工業分野ではどんなコーティングが使われていますか?

化学工業では、化学プラント・薬品設備・粉体設備・搬送ラインなどにて強酸・強アルカリ・溶剤・粉体など過酷な環境に耐えるため、以下のような機能性コーティングが多く採用されています。
・フッ素樹脂コーティング(耐薬品・非粘着)
・PFA/PTFE厚膜コーティング(強薬品・高温)
・PPSコーティング(耐熱・耐薬品)
・セラミックコーティング(耐摩耗・耐熱)
・帯電防止フッ素コーティング(静電気対策)
・シリコーンコーティング(付着防止・耐熱)
薬品・粉体・摩耗・静電気の課題を解決するために欠かせない技術です。

どんな設備・部品にコーティングが使われていますか?

化学工業では、薬品・粉体・摩耗が発生するあらゆる設備で採用されています。
■ 薬品設備
・薬液タンク、反応槽
・配管、継手、バルブ
・攪拌翼、ミキサー部品
■ 粉体・樹脂搬送設備
・ホッパー、シュート、スクリュー
・ローラー、ガイド、コンベア部品
■ 腐食・摩耗が激しい設備
・ポンプ・シール部品
・ノズル、フィーダー
・摩耗しやすい金属部品
■ 静電気対策が必要な設備
・粉体搬送ライン
・電子材料の製造設備
“薬品 × 粉体 × 摩耗 × 静電気”の複合課題を解決するために使われています。

耐薬品性が必要な理由は何ですか?

化学工業では、以下のような強い薬品が日常的に使用されます。
・強酸(硫酸・塩酸・フッ酸など)
・強アルカリ(苛性ソーダなど)
・有機溶剤
・薬液スラリー
金属はこれらに触れると腐食・溶解・摩耗が進むため、
**フッ素樹脂(PTFE/PFA)やPPSコーティング**が必須となります。
設備寿命の延長・メンテナンス低減に大きく貢献します。

粉体の付着防止にはどんなコーティングが有効ですか?

粉体の付着防止には、以下のコーティングが効果的です。
・フッ素樹脂コーティング(非粘着・低摩擦)
・帯電防止フッ素コーティング(静電気による付着防止)
・シリコーンコーティング(付着防止・離型性)
粉体が付着しにくくなることで、
・搬送効率向上
・詰まり防止
・清掃時間の短縮
・品質安定
につながります。

静電気対策にはどんなコーティングが使われますか?

粉体や薬品を扱う設備では静電気が大きな問題になります。
・粉体の付着
・火花による危険性
・計量誤差
・搬送不良
帯電防止フッ素樹脂コーティングは、表面抵抗値を10⁶〜10⁹Ωに調整し、静電気の蓄積を抑制します。
粉体・薬品・電子材料の製造ラインで特に効果を発揮します。

耐摩耗性が必要な設備にはどんなコーティングが適していますか?

摩耗が激しい設備には、以下のコーティングが適しています。
・セラミックコーティング(高硬度・耐摩耗)
・PPSコーティング(耐摩耗+耐薬品)
・変性フッ素コーティング(耐摩耗+滑り性)
粉体・スラリー・高速摩擦が発生する部品の寿命を大幅に延ばします。

膜厚はどのくらいになりますか?

用途により異なりますが、一般的には以下の通りです。
・フッ素樹脂:20〜40μm
・帯電防止フッ素:20〜40μm
・PFA厚膜:100〜300μm
・PPS:40〜70μm
・セラミック:20〜50μm
薬品・摩耗・静電気など、環境に応じて最適な膜厚を選定します。

どのコーティングを選べばいいか迷った場合は?

使用環境(薬品・温度・粉体・摩耗・静電気)によって最適なコーティングは異なります。
例えば…
・強薬品+高温 → PFA厚膜
・粉体付着防止 → フッ素樹脂
・静電気対策 → 帯電防止フッ素
・摩耗+薬品 → PPS
・摩耗+高温 → セラミック
用途をお知らせいただければ、最適な仕様をご提案できます。