PVDコーティングとは

PVDコーティングとは、「PhysicalVaporDeposition」物理蒸着法という英語表記の頭文字をとった呼称となり、 物理蒸着とは金属等、融点の高い物質(ターゲットといいます)を電気の力を利用して物理的に 蒸発、気化させてその物質を着膜させる方法を言います。

一般的にはチタン(Ti)等の硬い金属物質を気化、プラズマ化させて窒素(N2)中の窒素により 更に硬い窒化物を処理品表面に膜として形成させる処理です。

PVD処理は溶かして気化させる物質の種類によって様々な膜を着ける事が出来ます。

例えばチタンを溶かせばチタンの窒化物、クロム(Cr)を溶かせばクロムの窒化物の膜で出来るといった具合です。

窒化処理と同様、その膜の選定においては金型の使用用途や使用状況によって膜種の使い分けが必要なり、 それら検討して的確に膜選定することが非常に重要となります。

PVDコーティングの機能

すべり性耐薬品性/耐熱性/ 撥水・撥油性/親水性/耐摩耗性電気特性/寸法安定性

PVDコーティングの膜厚

PVDコーティングの膜厚は、2~4(μm)=0.002~0.004(mm)、3000HV前後の硬さがあり、 切削工具の表面と同等の硬さになります。

硬度の参考値ですが、金型内部は350HV程度で、表面処理のガス軟窒化で1300HV程度です。

PVDコーティングの色

コーティングの色は、蒸着させる物質により異なり、

膜色は工具でよくある金色(TiN)、その他オレンジ、グレー、紫など様々あります。

PVDコーティングの温度

処理温度は、低温(450℃前後)である為、 処理中における素材自体の寸法変化、歪がありません

金型材料の再結晶温度は560℃前後なので、それより高い温度にすると硬度が落ちて変形します。

蒸着系処理との特性比較

DLC
PVD
CVD
硬度



種類の豊富さ



膜厚
数μm
数μm~数十μm
数μm~数十μm

性能の比較

加工方法
真空蒸着
スパッタリング
イオンプレーティング
密着性


膜密度


コーティング外観
光沢~半光沢
光沢~艶消し
光沢~艶消し
ピンホール

PVDコーティング(クロム系)

PVDコーティングはクロム系とチタン系に大別されます。

クロムを主元素とするコーティング膜は油中での優れた摺動性より自動車部品へ、

その他元素を添加することで高硬度・耐熱性を有し治工具へも採用されています。

PVDコーティング(チタン系)

チタンを主元素とするコーティング膜は優れた耐熱性と高硬度より切削工具へ、

その他元素を添加することで特徴を更に伸ばしドライ切削工具や金型へも採用されています。

コーティング処理時の注意点

コーティングには耐酸化温度というものがあり、鋳造時の熱により、酸化、劣化しボロボロになるので、 鋳造温度はもちろんのこと、余熱時の急激な加熱も考慮する必要があります。

PVDコーティング装置に依っては、ドロップレットと言って、表面にゴミの様な凸が出来てしまうことがあり、 表面状態が悪くなることがありますがこれは装置の電源性能によるものとなっております。

コーティング膜特性一覧

加工方法
硬度(HV)
膜厚(μm)
耐熱(℃)
処理温度(℃)
カラー
TiN (窒化チタン)
2000HV
2~3μm
400℃
500℃
ゴールド
TiC (炭化チタン)
3000~4000HV
3~5μm
300℃
500℃
シルバー
TiCN (炭窒化チタン)
2500~3000HV
2~3μm
300℃
500℃
シルバーorゴールド
TiAlN(窒化チタンアルミ)
3000HV
3~6μm
800℃
500℃
バイオレット
AlCrN(窒化アルミクロム)
3200HV
3~5μm
1100℃
500℃
ダークグレー
CrN(窒化クロム)
1800HV
5~10μm
600℃
500℃
シルバー
コスト
耐摩耗性
耐食性
離型性
滑り性
凝着防止
耐熱性
切削加工
プレス
鍛造
樹脂成形
ダイカスト
TiN (窒化チタン)
TiC (炭化チタン)
TiCN (炭窒化チタン)
TiAlN(窒化チタンアルミ)
AlCrN(窒化アルミクロム)
CrN(窒化クロム)
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