PPSコーティングとは

PPS(ポリフェニレンサルファイド)とは、ベンゼン環と硫黄からなる高流動性(成形時)の結晶性樹脂で、米国のフィリップス・ペトローリアム社によって開発された熱可塑性エンジニアリングプラスティックです。優れた耐熱性、耐薬品性、電気的特性等を有しています。

PPSコーティングの特徴

  • 高い耐熱性を持ち、フィラー充填グレードの荷重たわみ温度は260℃以上。また、高温下での機械的物性の低下が少ない。
  • 強度や剛性がきわめて高く、耐磨耗性にも優れる。ただし靭性には劣る。
  • 耐薬品性に優れる。200℃以下の温度環境でPPSを溶解させる溶剤は存在しない。
  • UL94V-0の難燃性を有する。これは、酸素指数が44と高い上、炎に当たった際に表面が炭化し内部を保護する性質を持つためである。
  • 食品安全性が高く、アメリカ食品医薬品局と米国科学財団は食品機器厨房用品や水道飲用水に接触する部分への使用を認可している。
  • 流動性が高く、薄肉など成形性に優れる。また成形収縮率も低く、精密な成形が可能。ただし成形時の結晶化度が物性に大きく影響するため、樹脂温度や金型温度の設定など成形条件のコントロールには留意が必要となる。

PPSコーティングの特性

特性
効果
耐熱性
PPSの耐熱温度は260℃ですが、塗装、焼付けしたPPS被膜は300℃の高温にも耐えます。
耐薬品性
硝酸、濃硫酸のような酸化性の酸及び酸化剤には侵されますが、それ以外の酸、アルカリ、無機塩、有機溶剤の全てに強い抵抗力があります。
機械的特性
他のエンプラに比べ、極めて高い剛性を有し、高温においても優れた機械的特性を保持します。
電気的特性
絶縁性に優れており、特に広い周波数領域で極めて低い誘電正接を示します。
非粘着性
すべり性
粘着物が付着しにくく、摺動面としても高い特性を有します。
ピンホール性
重ね塗りでフッ素樹脂と比べピンホール性が極めて少ないです。
膜厚
40~100μm
色調
ブラック
適用基材
金属(銅を除く)

導入事例の説明

【メッキ設備・治具】

PPSコーティングしためっき治具
  •  PPSコーティングは絶縁性が抜群です。特に広い周波数領域で極めて低い誘電正接を示しますので、電気鍍金の治具などに最適です。(治具にめっきがのりません。)
  •  PPSは非常に高い耐薬品性をもっています。高温において一部の強酸化性の酸以外には侵されません。
  •  PPSは非常に高い耐熱性を持っています。通常は260℃ですが、断続的には300℃の高温にも耐えます。

PPSコーティング事例

PPSコーティングを撹拌羽根にすることにより、耐薬品性、非粘着性をアップさせています。

PPSコーティング用途

化学プラント、ポンプ、バルブ、熱交換機、食品加工機械、調理器具など

お気軽にお問い合わせくださいませ

電話でお問い合わせ

FAXでのお問い合わせ

最短24時間以内にお見積りいたします!