ニッケルめっき加工とは

ニッケルめっきとは、鉄鋼材料・銅・銅合金・ステンレス・アルミなどの表面にニッケルの成分を用いためっき処理を施すことです。ニッケルは適度な硬度と柔軟性があり、強磁性を示す金属です。

ニッケルめっきを施すと、黄白色の美しい外観になるほか、優れた耐食性が得られます。ニッケルめっきは変色しにくいことから、美観性の向上を目的として利用されることが多くあります。

ニッケルめっきの種類と特徴

電解ニッケルメッキと無電解ニッケルメッキによって幅広い種類の素材に加工可能

電解ニッケルめっき

外部電源から供給される電気を利用してめっきを行う手法で、「電気ニッケルめっき」とも呼ばれています。上図のように、陽極のニッケル極板を用い、ニッケルを溶解させることで、陰極の材料にめっきを行います。

電解ニッケルめっきは、ステンレス・銅素材への処理がしにくい特徴がありますが、前処理である「ニッケルストライクめっき」を施すことで、良好な皮膜を析出できるようになります。

電気ニッケルめっきは、さらに細かく分類すると、「光沢ニッケルめっき」「半光沢ニッケルめっき」「無光沢ニッケルめっき」の3種類があります。

光沢ニッケルめっき

光沢のある黄白色の外観で、変色しにくい特徴があります。

ただし、皮膜の硬度が高く、二次加工時のスポット溶接の不具合・カシメ加工でのめっき割れや、クラックなどの不良が発生しやすい点に注意が必要です。

用途としては、金めっき・銀めっき・クロムめっきなどの光沢が必要な場合の下地めっきや、耐食性を必要とするめっきの下地、はんだ付けなどに採用されています。

半光沢ニッケルめっき

光沢ニッケルめっきと比べて光沢が控えめで、柔らかい特徴があります。

また、光沢ニッケルめっきと組み合わせた2層のめっきである「ダブルニッケルめっき」を施すことで、より優れた耐食性を得られるようになります。

※ダブルニッケルめっきとは

材料の外層にある光沢ニッケルめっきを優先的に腐食させて、素地への腐食を遅らせることが可能です。

半光沢ニッケルめっきは、はんだ付け製品に多く採用されています。

ダブルニッケルめっきでは、優れた耐食性を有することから、自動車部品や機械部品、装飾部品などに採用されています。

無光沢ニッケルめっき

無光沢ニッケルめっきは、その名前の通り光沢のないニッケルめっきです。

光沢を出すために必要な添加剤の影響がないので、安定したニッケルめっきの皮膜が得られます。

溶接性に優れ、折り曲げても割れにくいため、カシメ加工に強い特徴があります。

ただし、表面に指紋が付きやすいほか、経年変化による変色が発生する場合があります。

無電解ニッケルめっき

電気を利用せず、化学的還元作用によりめっきを施す手法で、別名「カニゼンめっき」とも呼ばれています。

無電解ニッケルめっきは、還元剤である次亜リン酸塩が酸化され、亜リン酸塩になります。このときに電子を放出してニッケルイオンを還元し、めっき皮膜になる仕組みです。

無電解ニッケルめっきは、電解ニッケルめっきよりも均一に皮膜を析出できるので、寸法精度を要する製品や、複雑な形状の製品のめっきに適しています。ただし、他の表面処理に比べて単価が高い傾向にあります。

無電解ニッケルめっきは、主にリンが含まれており、リンの含有量によって「低リンタイプ」「中リンタイプ」「高リンタイプ」に分類されます。リンの含有量が多いと、ピンホールが少なくなり、耐食性が向上します。これらは熱処理を施すことで、析出時500~700Hvの硬度が、900〜1000Hv程度まで向上させられます。

ニッケルめっきの特性

耐熱性と耐食性

ニッケルめっきは耐熱性に優れています。ニッケルめっき加工処理を行う上でも400℃までは変色しないのが特徴です。

他にもニッケルめっきを施す上で、ニッケルに含ませる成分を変えることによって、効果を変えることができます。

例えばニッケルにリンを含有させると、耐食性(錆びにくい)を付加することができます。耐食性が向上することによって、錆に弱い材質も錆びにくくなるので、錆びやすい材質をめっきする時によくニッケルめっき加工処理を施します。

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