スーパーエンプラの種類と特徴まとめ

スーパーエンプライメージ

スーパーエンプラとは?

スーパーエンプラとは、スーパーエンジニアリングプラスチックの略称で、エンジニアリングプラスチックの中でも特に耐熱性、耐薬品性に優れたエンジニアリングプラスチックを総称してスーパーエンプラと呼びます。

エンプラと同様にスーパーエンプラに関しても明確な定義はありませんが、凡そ150℃以上の耐熱性を有し高温環境で長期間使用することができるのが、スーパーエンプラの特徴です。

なかには260℃以上で使用可能なスーパーエンプラもあります。またスーパーエンプラにはフッ素を含むものも多いため、溶剤や薬品に対しても高い耐性を示すことが特徴としてあげられます。

より高温の環境下でも使用することができるスーパーエンプラは、エンプラが用いられる用途はもちろんですが、スーパーエンプラの特徴として、分子鎖にベンゼン環が入っていることが言われます。

一方でフッ素樹脂はベンゼン環を含みませんが、電気陰性度が最も高く、炭素とフッ素の結合が非常に安定しているため耐熱性や耐寒性その他の性質にも優れ、スーパーエンプラのひとつに数えられます。

特に医療機器向けに関しては、透明性が高く、かつ蒸気殺菌の高温にも耐えることができるスーパーエンプラが採用されています。

ただしスーパーエンプラについては、高機能樹脂である一方で、コストが高くなります。

しかしそれ以上に、スーパーエンプラの特性やコストメリットが大きくなる場合が多いため、積極的に検討されることが多いです。

スーパーエンプラの種類一覧

PPS(ポリフェニレンサルファイド)

PPS樹脂(ポリフェニレンサルファイド、英:Polyphenylenesulfide)は、代表的なスーパーエンプラの一つで、PPS樹脂単体では非常に脆いためガラス繊維や炭素繊維を充填したフィラー強化グレードが使用されることが多いです。

主な特徴としては、①非常に高い耐熱性(200~240℃)、②強度・剛性が高い(高温強度も高い)、③耐薬品性、④寸法安定性、⑤電気絶縁性、⑥加工性、⑦UL94V-0の規格に適合した優れた難燃性(自己消化性)等があります。

PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)

PEEK樹脂(ポリエーテルエーテルケトン、英:Polyetheretherketone)は、代表的なスーパーエンプラの一つで、熱可塑性樹脂として最高クラスの融点をもつ優れた材料です。別名ピークとも呼ばれます。

PEEKの主な特徴としては、①耐熱性、連続使用温度250℃、②機械的特性(高温強度も高い)、③耐薬品性、④難燃性(UL94V-0規格の適合、燃焼時に煙や有毒ガスが発生しにくい)、⑤耐熱水性(高温水蒸気下でも加水分解を起こしにくい)、⑥電気絶縁性、⑦耐放射線性、⑧加工性、⑨耐衝撃性、⑩耐スチーム性、等があります。

PTFE樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)・テフロン

PTFE樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、英:Polytetrafluoroethylene)は、フッ素樹脂の一つで、四フッ化エチレン樹脂もしくはデュポン社の登録商標であるテフロンと呼ばれることもあります。フッ素樹脂の総称をテフロンと呼称する場合もありますので、使い分けには使い分けには注意が必要です。PTFE樹脂はフッ素樹脂の中では最も需要が高く、フッ素樹脂全需要の約60%を占めています。樹脂全体の中では、一般的にスーパーエンプラに分類されます。

PTFEの主な特徴としては、①優れた耐薬品性(ほとんどの化学薬品・溶剤に対して不活性で化学的に安定)、②樹脂の中で最高クラスの電気絶縁性、③あらゆる物質の中で最高クラスの摺動性、④耐熱性(融点327℃、連続使用温度260℃)、⑤耐寒性(-253℃)、⑥難燃性(UL94V-0規格に適合)、⑦非粘着性・撥水性 等があります。

その一方でPTFEには、①吸水性が高く寸法安定性が低い、②高価、③溶融時の粘度が低くゴム状の弾性体になるため成形が難しい(通常圧縮成形法を用いるが、充填剤を加えれば機械加工可能)、④耐摩耗性が低い、⑤耐放射線性が低いといった欠点もあります。

フッ素樹脂とエンジニアリング樹脂の特徴

続いて、代表的な種類と特徴の概要を以下に示します。

PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロビニルエーテル共重合体)

PTFEの溶融粘度を下げて射出成形できるように開発された樹脂で、テトラフルオロエチレン(TFE)とパーフルオロビニルエーテル(PFVE)との共重合体で融点が290-310℃の半透明の樹脂です。耐薬品性、非粘着性に優れています。

FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)

上記PFAより早く開発された溶融性パーフルオロポリマーで、TFEとヘキサフルオロプロピレン(HFP)との共重合体です。融点は265-275℃で低温の離型性に優れています。

ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)

非常に加工性が良い樹脂です。融点は220-270℃でパーフルオロポリマーでないため、耐薬品性は少し低下しますが、皮膜を厚くすることが出来ます。

PCTFE(クロロトリフルオロエチレン単独重合体)

融点が210-215℃で透明で硬く、ガス透過性がフッ素樹脂の中で最も小さいです。

ECTFE(クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体)

加工性に優れ融点は230-250℃でETFEに比べ難燃性と硬さに優れています。

PI(ポリイミド)

イミド結合を持つポリマーの総称ですが、通常は芳香族ポリイミドを指します。耐熱性が高く連続使用温度も260-300℃あり、電気特性も良いため電子関係で広く使用されています。

エンプラとスーパーエンプラの違いとは?

エンプラとスーパーエンプラの大きな違いは、耐熱性や機械的強度にあります。

汎用プラスチック:100℃で溶融

エンプラ:100~150℃で溶融

スーパーエンプラ:150℃以上でも連続使用可

もちろん高機能になればなるほど、価格も高騰します。しかし部品の使用用途において耐熱性や機械的強度が必要な場合には、試作段階からスーパーエンプラを採用する方が最善な選択となります。一方で、コストを抑えたいという場合は、汎用プラスチックの方が適していると言えます。

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